2022/08/24(note投稿 2022/10/12)
去年12月から今年1月にかけて行われた内閣府の選択的夫婦別姓に関する世論調査について、「選択的夫婦別姓に反対の世論結果が出るように質問内容が替えられた」という報道が相次ぎました
共産党ウォッチャー(支持者ではなくむしろ逆)の人に教えられて一昨日(8/22)の小池さんの記者会見を見てみると、「こういう世論誘導までやって選択的夫婦別姓に反対してきた(趣旨)」と息巻き、例によってこれが旧統一教会の意向を反映したものだという最近はやりの「鉄壁の?」プロパガンダをやっていました
もともとの情報ソースは女性活躍担当大臣(当時)の野田聖子氏です
今回の世論調査質問内容と結果はすぐに出てきました。但し、この内容も素直に、率直に記載されていたのは、私が探していた中ではNHKのNEWS WEB 3/25の記事だけでした
この質問の選択肢の内容と結果をはじめて見た時、私はこれがもともとの選択肢の内容で、ここから世論誘導を行う内容に変えられたのではないかという錯覚に陥りました。どこがどう変えられたのかについては、最初、どこを探しても出てきませんでした
野田さんは上記3つの選択肢の内容が非常にわかりにくく、無責任だとして「旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」というのは一体何だかわからないと発言したそうです
でも、わたしには野田さんの発言自体が意味がわかりません
通称使用についての法制度を設けた方がよいという表現をめぐって、反対派の議員から理不尽な圧力があったという話がさかんに喧伝され、通称使用の法整備は何もやっていないので項目内容にいれるべきではなかったという見解(選択的夫婦別姓の制度も何の法整備もやっていませんが・・)がメディアの中ではまことしやかに語られていました
YouTubeでもとの質問内容をそれらしく紹介されていたものもありましたが、正確な詳細ではなく、結局私が見つけることのできたのは、内閣府大臣官房政府広報室のホームページにあった公式情報だけでした
以下がその選択肢の内容です
全然知りませんでしたが、ひどくないですか?
散文文章として、負荷なくまともにサラっと読めるのは、最後の選択的夫婦別姓に法律を改めてもかまわないという選択肢だけ・・・
「質問者の選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよいのだという意思」がこれほど露骨に選択肢の内容に折り込まれているとは思いませんでした
このもとの質問内容がどこを探しても出てこなかった理由がわかりました
内閣府は「(以前の)質問内容について「わかりにくい」などといった指摘が寄せられたことを踏まえ、一部変更した」とのことですが、当然そういう意見は出てくるでしょう。しかし、ネット界隈では火付け役の野田さんの「今回の質問内容がわかりにくい」という発言をもとにしたテンプレ通り「わかりにくくなった」という意見であふれかえっています。彼らはもとの質問内容を読んだのでしょうか
党内でこれまで誰も何も言わなかったのかと不思議だったのですが、関連記事をあさってみると、確かに「選択的夫婦別姓制度の導入を誘導している」という指摘はあったようです
また、この質問内容で選択的夫婦別姓の意見が増えてきたので質問内容を変
えたのだという記事もありましたが、これも少し事実とは違います
平成13年(2001年)に「夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」が一度42.1%に跳ね上がったあと、平成18年(2006年)36.6%、平成24年(2012年)35.5%と少し低空飛行をしてから平成29年(2017年)に42.5%と再び16年ぶりに戻ってきたわけで「順調にだんだん増えてきた」ようなイメージはありません
蛇足ですが、今回の調査結果で私が興味を持ったのは、夫婦の姓が異なることによる子への影響に関する意識のクロス分析です
「子どもに好ましくない影響があると思う」人のうち、18.8%が夫婦別姓導入に賛成の人ですから全体の13%、1割を越える人が「夫婦別姓導入には賛成するが、夫婦の名字が異なることで子どもに好ましくない影響があると思う」という人だということですね。自分は「別姓にしない(子供などには)別姓にさせない」ということでしょうか
(高校の時、お母さんと本人の名字が違う男の子がいて、たまたまそれがわかる場面に出くわした時に、思わず「あ、なんで?」と聞いてしまったことがあります。男の子は「親が離婚したからね、自分の名字は父親の方」と答えてくれましたが、じゃあ何でお母さんと一緒の名字にしないのだろう、できないのかしらと思いました。うちはやんごとなき家系でも何でもありませんから、男系でも女系でもどちらでもいいのですが(父親の名字でも母親の名字でもどちらでもいいのですが)わたしは家族で名字が違うのは絶対嫌だなと思いました…)
こういった「アンケート」は肯定的な聞き方の方が賛同しやすいという観点から見ると「同姓を維持した方がよい」と「別姓制度を導入した方がよい」というように両方とも肯定的に対比させて、その中間の旧姓使用の法制化の選択肢も肯定的な言い方の前提からはいった今回の方がはるかに洗練されてフェアな内容であることは議論を待ちません
しかし、この程度の聞き方の違いで結果が変わったのだとしたら、結局それほど強い賛成、反対の意思を持っていない人がそれだけいるのだということなのかもしれません
ごく一部の人を除いて別姓を望む人はいないので、別姓の制度ができても日本会議や女性の会が言うように今の家庭のあり方に深刻な影響を与えることはないでしょう。だからそれほど制度を変えたいなら変えればいいじゃないかというのが自民党賛成派の考えで、賛成の意思表示をする国民の多くも(自分のことではないというところで)同じ気持ちだろうと思います
ところで、
今熱心に別姓を推進している方たちも同じ気持ちなのでしょうか
ごく一部の人の希望をかなえるためだけにこれほど大掛かりに何年も何年も運動を続けているのでしょうか
強硬に反対する意見というのは、推進派が目指す社会への疑念を杞憂だとは考えてはおらず、現実的な予測として、既定路線としてこれと向き合っているわけです。似たような前例もいくらでもありますから
ですから「個々の希望者の願いをも拒絶する反対派」という認識で話をはじめてしまうと、話がかみ合うことはありません。ほとんどの場合、「個々の希望者の願い」は拒絶していないからです
【旧統一教会とのかかわりについて】
野田聖子さんが「告発」してから半年近くたって、今回改めて思い出したように選択的夫婦別姓の世論調査の質問内容が取りざたされたのは、間違いなく先月の安倍氏の事件に続く旧統一教会の問題・・・共産党の小池氏などがやっている、旧統一教会の意向を反映したものだという最近はやりのプロパガンダにメディアがそのまま先導された結果だと思います
最近は、なんでもかんでも統一教会です
先日(8/17付)の東京新聞では「スパイ防止法(制定促進)国民会議」が統一教会だとする誤報記事まで掲載しています(それを言うなら発足させたのは統一教会ではなく日本会議です)
浮足だっている人は、まず、紀藤正樹氏が所長を務めるリンク総合法律事務所の弁護士「ヤマベン」こと山口貴士氏のこんなTweetを読むべきではないのかな、と思います
僭越ながら、大きな勘違いをしている人が多いと思うのですが、統一教会は政府自民党の方針をねじ曲げさせて、大きく変えさせるような力は爪の先ほどもありません。750万もの集票力をもつ創価学会とは違います
そんな力はないことは彼らが一番よく知っています
順番が違うのですね
自民党の方針にあとから自らがのっかるのが彼らの仕事なのです
たとえば立憲民主党の辻元清美氏・・・
2012年4月28日、知り合いが講師を務める世界平和女性連合の勉強会に、当時の秘書と一緒に出席しました
全然わからなかった、今でも確認できないとしているのに一部で「壺議員」とまで揶揄された杉田水脈さんの場合は、赤旗でさえその団体名を明らかにできず、実はだれも聞いたことがない名前で、しかも現在はなくなっている泡みたいなダミー団体でしたが、こちらは「世界平和女性連合」と知名度ど真ん中の統一教会の別働の役目を担った団体です
領収書にはちゃんと「WFWP大阪10連合会」という記載もありました
仮に辻元清美さんに「あなたは統一教会の意向を受けて慰安婦問題を語っていたんですね」と言ったら、彼女はこの侮辱的な発言に烈火のごとく怒るかもしれません
今メディアや共産党が自民党に対してやっていることはそういうことなのです(特に朝日系列が酷いです)
被害者の支援と救済と今後の被害の予防がすぐにやるべき重要課題であるはずなのに、それは議会で多数派を持つ与党と一緒にやらなければならないことなのに、与党に「喧嘩を売って」どうするんでしょうか
結局、被害者の事は自分たちの「政局」のその二の次の問題なのでしょうか
【22/10/12 追記】
悲願の旧統一教会の宗教法人格の剥奪や解散命令は暗礁に乗り上げた感がありますが、これまでの野党の対応や働きかけが攻撃的なものではなく、もっと建設的なもってゆきようであったのなら、全然違うかたちになっていたような気がしてなりません